雪に埋まる

スキー・スノーボード通して10年以上やっているが初めて死に掛けたのかも知れない

スキー場で雪に埋まり窒息死するという
事件は何度かメディアで見聞きしたが

自分がまさにそうなりかけようとは
思いもよらなかった


今日の新雪は板の浮きが悪く
スピードをつけて入っていくしかなかった

そんな事でできる限りのスピードで
今回も新雪への突入を敢行していた

大量降雪の日は決まって
ピステンと新雪との間は落差があり壁になる

高速での突入の問題はまず
この落差の壁の乗越えがある

ただこの落差は事前に予想できるし
今日もその点では問題なくクリア出来ていた

罠はその奥にあった
壁の向こうに誰かの転んだ穴があったのだ

ゲレンデの新雪には付き物の誰か(自分)の転んだ穴
いつもならその穴に引っ掛かって転んでもなんて事は無い

しかし今日は違った


穴に引っ掛かってコケた時点では
いつも通りのクラッシュのはずだった

・・・雪の中を
一回転二回転・・・

だがその時に今回は異常な気持ち悪さを覚え
上下左右の感覚が完全に麻痺

気がついたら完全に雪に埋まっていた
それでも少ししたら仰向けに大の字で埋まっていることに気づく

いつも新雪でコケたら直ぐに復帰できるような体勢に
受身を取るようにしていたので今回も無意識にでもそうなっていたはず

ただ今日に限っては
埋まり方が予想以上に深かった

全身がそのまま
深く埋まってしまっていたようだ

そして顔の上は新雪で埋まっていた
直ぐに息苦しさを感じヤバイと気づく

急ぎ上体を起こそうとするが雪が軽くて抵抗にならず
起き上がれない

ますます息苦しくなって顔の上の雪を両手で払う
がしかし雪が軽くて除けても除けても顔へ落ちてくる

おまけに息を吸うと
細かい雪が一緒に気道に入ってきて胸が痛い

ただ完全に息が吸えないわけでは無いのがわかったので
口の前を手で少し空間を作ってゆっくり少しずつ息をすることにした

か細いながらも呼吸出来ると気持ちも落ち着いて
顔の前に腕を突っ立てて雪を少しずつ除けていくことにして

顔の前の空間をゆっくり大きくしていき
やっとのことで外が見えるまでにする

そして外との呼吸を完全に確保出来れば
後は落ち着いてなんとか脱出すことが出来た

クラッシュしてからこの間いったい何秒くらいの出来事だったのか
自分には全くわからない

ただもう少しで意識が飛びそうなほど
切迫した状況のように自分は感じていた

息苦しいと感じたときは
かなり焦ってパニクっていた状態だった

息が出来ないのではなく
過呼吸だったのかもしれない

今思えば
もっと冷静に判断していればそれほどの事態ではなかったようにも思う

しかしあの時の自分は
心底怖かったしとにかく必死だった


脱出後に少しして息が完全に整ってくると
なぜか可笑しくてたまらなかった

直後に乗ったリフトの上で
笑いが止まらなかった事だけは鮮明に覚えている




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